歯科技工士としての葛藤と歯科医師転向への思い
じつは僕、歯科技工士だったんです。13年間、山﨑長郎先生の原宿デンタルオフィスにいました。ご存知のとおり、山﨑先生は妥協を許さない人。その中で精度の高い技工をやろうと思ったら、拡大鏡は必須です。
何しろ米粒に文字を書くのと同等の世界ですからね。拡大しないと一文字も書けませんよ。見えるというのは、〝できる〟ことにつながる。見えなければ、技術もへったくれもない。つくづくそう思います。
一方で葛藤もありました。自分は拡大して技工している。でも、日本全体を見ると裸眼でやっている先生も多いわけです。これじゃあ、いくら精度の高い技工をしても意味ないよなって……。
僕自身が見てきたのは、山﨑先生の完璧な治療を受けて機能的にも審美的にも口腔の健康を回復された患者さん。彼らの喜ぶ姿を通して、歯科医師って本当に素晴らしい仕事だと感じました。こんなに人のためになるんだ。人生を変えることができるんだ、と。